審決取消訴訟の審理範囲
メリヤス編機事件
最大判 昭和51.3.10 (昭42(行ツ)28号)
特許法は特許出願に関する行政処分が誤ってされた場合におけるその是正手続については、一般の行政処分の場合と異なり常に専門的知識経験を有する審判官による審判及び公告審判の手続きの経由を要求するとともに、取消の訴えは、原処分である特許又は拒絶査定の処分に対してではなく、抗告審判の審決に対してのみこれを認め、右訴訟においては、専ら右審決の適法違法のみを争わせ、特許又は拒絶査定の適否は、抗告審判の審決の適否を通じてのみ間接にこれを争わせるにとどめていることが知られるのである。
以上の次第であるから、審決の取消訴訟においては、抗告審判の手続きで審理判断されなかつた公知事実との対比における特許無効原因は、審決を違法とし、又はこれを適法とする理由として主張することができないといわなければならない。