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キーワード ★審査請求制度★
趣旨
 特許出願のすべてについて審査を行うのではなく、出願審査の請求があったものについてのみ審査を行う制度であり、これにより審査の負担を軽減することにした。  
 防衛出願等を目的とする審査を望まない出願など、大量出願に基づく審査の遅延が防止できることとなる。
 出願審査の請求ができるのは、出願日から3年以内であり、その期間を過ぎれば特許出願は取下とみなされる。
特48条の3
(出願審査の請求)
 特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。
2  第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。
3  出願審査の請求は、取り下げることができない。
4  第一項又は第二項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす
関連規定
(法人でない社団等の手続をする能力)第六条
 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において次に掲げる手続をすることができる。
一  出願審査の請求をすること。

(特許出願の審査) 第四十八条の二
 特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまつて行なう。
第四十八条の四
 出願審査の請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。
一  請求人の氏名又は名称及び住所又は居所
二  出願審査の請求に係る特許出願の表示
第四十八条の五
 特許庁長官は、出願公開前に出願審査の請求があつたときは出願公開の際又はその後遅滞なく、出願公開後に出願審査の請求があつたときはその後遅滞なく、その旨を特許公報に掲載しなければならない。
2  特許庁長官は、特許出願人でない者から出願審査の請求があつたときは、その旨を特許出願人に通知しなければならない。
 (既に通知された拒絶理由と同一である旨の通知)
第五十条の二
 審査官は、前条の規定により特許出願について拒絶の理由を通知しようとする場合において、当該拒絶の理由が、他の特許出願(当該特許出願と当該他の特許出願の少なくともいずれか一方に第四十四条第二項の規定が適用されたことにより当該特許出願と同時にされたこととなつているものに限る。)についての前条(第百五十九条第二項(第百七十四条第一項において準用する場合を含む。)及び第百六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知(当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかつたものを除く。)に係る拒絶の理由と同一であるときは、その旨を併せて通知しなければならない。
その他 (外国語でされた国際特許出願の翻訳文)第百八十四条の四 4項
(国内公表等) 第百八十四条の九
(補正の特例) 第百八十四条の十二
(出願審査の請求の時期の制限) 第百八十四条の十七
(手数料) 第百九十五条
(出願審査の請求の手数料の減免)第百九十五条の二
疑問・質問・検討事項・その他
 みなし取下  出願審査の請求がないと取り下げたものとみなされるが、審査請求期間が過ぎれば、最早、権利取得は何人もできないのであるから、取下とみなす必要はなさそうである。
 放棄と区別して取下としなければならない理由でもあるのだろうか?
 放棄と取下とは、特許法上の違いは何だろう?こちらで比較
 出願については、取下と放棄の両者が使われており、権利については、放棄だけが使用されている。権利は確定した財産であり、これを取り下げるという表現は適切ではないから、権利放棄という明確な意思表示を要請しているようだ。
 出願について、両者が使用されているが、現在においては特に区別はされていないことが分かる。かつては、取下であれば出願したこと自体がなくなり、先願権が全くなくなるとしており、放棄であれば先願権があるものと解釈運用されていたため、特許出願の放棄と取下は明確に区別されていた。しかし、公開前に特許出願を放棄した場合、新規な発明を公開することなく先願権を認めて後願を排除することは不合理であるとして、先願権がないものとしたため、現在では両者を区別する実益も必要もなくなったと考える。
経緯 昭和46年法で新設(出願が増加し審査期間長期化の解消の為)
ちなみに、昭和45年の出願件数は、約46万件(459171)で審査官898人が277616件の審査処理を行ったデータがある。
審査請求期間は出願日から7年
審査請求期間を出願から3年に短縮<平成11年法>
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