No23 可撓性ホース事件
最三490319 :意匠法第3条第1項第3号,2項
【要旨】  意匠法3条1項は一般需要者の立場から見た美観の類比を問題とし,2項は当業者の立場からみた意匠の着想の新しさないし独創性を問題とするものであり,両者は考え方の基礎を異にする。
【判示】  同条1項3号は,意匠権の効力が,登録意匠に類似する意匠すなわち登録意匠にかかる物品と同一又は類似の物品につき一般需要者に対して登録意匠と類似の美感を生ぜしめる意匠にも,及ぶものとされている(法23条)ところから,右のような物品の意匠について一般需要者の立場からみた美感の類否を問題とするのに対し,3条2項は,物品の同一又は類似という制限をはずし,社会的に広く知られたモチーフを基準として,当業者の立場からみた意匠の着想の新しさないし独創性を問題とするものであって,両者は考え方の基礎を異にする規定であると解される。
   したがって,同一又は類似の物品に関する意匠相互間においても,その意匠的効果の類否による同条1項3号の類似性の判断と,その一方の意匠の形状,模様,色彩等に基づいて当業者が容易に他方の意匠を創作することができたかどうかという同条2項の創作容易性の判断とは必ずしも一致するものではなく,類似意匠であって,しかも同条2項の創作が容易な意匠にも当たると認められる場合があると同時に,意匠的効果が異なるため類似意匠とはいえないが,同条2項の創作容易性は認められるという場合もありうべく,ただ,前者の場合には,同条2項かっこ書により「同条1項3号の規定のみを適用して登録を拒絶すれば足りるものとされているのである。

【解説】  ★ 意匠権に関する最高裁判決は,他にあるでしょうか。これだけのようです。
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