【要旨】 商品自体が取引上互に誤認混同を生ずる虞がないものであっても,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するとき同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認混同される虞がある場合には,これらの商品は,類似の商品にあたると解するのが相当である。 |
【判示】 商標が類似のものであるかどうかは,その商標を或る商品につき使用した場合に,商品の出所について誤認混同を生ずる虞があると認められるものであるかどうかということにより判定すべきものと解するのが相当である。
そして,指定商品が類似のものであるかどうかは,原判示のように,商品自体が取引上誤認混同の虞があるかどうかにより判定すべきものではなく,それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞がある認められる関係にある場合には,たとえ,商品自体が互に誤認混同を生ずる虞がないものであっても,それらの商標は類似の商品の商品にあたると解するのが相当である。 本件においては「橘正宗」なる商標中「正宗」は清酒を現わす慣用標章と解され,「橘焼酎」なる商標中「焼酎」は普通名詞であるから,右両商標は要部を共通にするものであるのみならず,原審の確定する事実によれば,同一メーカーで清酒と焼酎ととの製造免許を受けているものが多いというのであるから,いま「橘焼酎」なる商標を使用して焼酎を製造する営業主がある場合に,他方で「橘正宗」なる商標を使用して清酒を製造する営業主があるときは,これらの商品は,いずれも,「橘」じるしの商標を使用して酒類を製造する同一営業主から出たものと一般世人に誤認させる虞があることは明らかであって,「橘焼酎」なる商標が著名のものであるかどうかは右の判断に影響を及ぼうものではない。 それ故,「橘焼酎」と「橘正宗」とは類似の商標と認むべきであるのみならず,右両商標の指定商品もまた類似の商品と認むべきである。 |
【解説】 ★ |