【要旨】 法人格のない社団が一定の範囲で商標法上の権利の主体となりえないものとされているとしても,一般私法上の人格権的利益の保護を主たる目的とする本号の「他人」に法人格のない社団は含まれない,と解する理由はない。 |
【判示】 法人格のない社団は,法人格を有しない故に一定の範囲で権利主体となることに制限があるとはいえ,個々の構成員とは別個に独立して存在し,社会において一定の地位を占めるものであるから,その実質的な社会的地位に伴う名誉,信用等の人格権的利益を享有しうるものであるこ
とは,社団法人の場合と変わりがなく,そのような利益のうちには,自己の名称等が他人によってみだりに使用されない利益をも含むものというべきである。 そして,商標法4条1項8号が「他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号,芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標」について商標登録を受けることができないとした趣旨は,当該「他人」の「氏名若しくは名称・・・若しくはこれらの著名な略称」に対する人格権的利益を保護することを主たる目的とするものであることは,本号かっこ書に「(その他人の承諾を得ているものを除く。)」と規定されていることから明らかである。 そうすると,法人格のない社団が一定の範囲で商標法上の権利の主体となりえないものとされているとしても,同法が,一般私法上の人格権的利益の保護を主たる目的とする本号から,法人格のない社団を除外している,すなわち,本号にいう「他人」に法人格のない社団は含まれない,と解する理由はなく,その名称又はその著名な略称を含む商標は,本号によって商標登録を受けることができないものと解すべきである。 |
【解説】 特許においても適用可能 |