No4 特許を受ける権利
 最三130612 特許法33条,123条1項6号
【要旨】  特許出願をした特許を受ける権利の共有者の一人から同人の承継人と称して特許権の設定の登録を受けた無権利者に対する当該特許権の持分の移転登録手続請求は認められる
【判示】  特許を受ける権利の共有者が他の共有者と共同してした特許出願につき,特許を受ける権利の持分を承継した旨の譲渡証書を添付して特許出願人を変更する出願人名義変更届を無権利者が特許庁長官に提出したことにより,特許権の設定の登録がされた場合において,移転登録手 続を請求することができる。
  本件発明につき特許を受ける権利の持分を有することの確認を求めていたのであるから,この訴訟の係属中に特許権の設定の登録がされたことをもって,この確認請求を不適法とし,さらに,本件特許権の移転登録手続請求への訴えの変更も認めないとすることは,上告人の保護に欠けるのみならず,訴訟経済にも反するというべきである。
  これらの不都合を是正するためには,特許無効の審判手続を経るべきものとして本件特許出願から生じた本件特許権自体を消滅させるのではなく,被上告人の有する本件特許権の共有者としての地位を上告人に承継させて,上告人を本件特許権の共有者であるとして取り扱えば足りるのであって,そのための方法としては,被上告人から上告人へ本件特許権の持分の移転登録を認めるのが,最も簡明かつ直接的であるということができる。

【解説】  《24 関連規定改正》
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