【要旨】 】一般住宅が著作物に該当するためには,いわゆる建築芸術といい得るような創作性を備えた場合であると解するのが相当である。 |
【判示】 著作権法により「建築の著作物」として保護される建築物は,同法2条1項1号の定める著作物の定義に照らして,美的な表現における創作性を有するものであることを要することは当然である。
したがって,通常のありふれた建築物は,著作権法で保護される「建築の著作物」には当たらないというべきある。 一般住宅の場合でも,その全体構成や屋根,柱,壁,窓,玄関等及びこれらの配置関係等において,実用性や機能性のみならず,美的要素も加味された上で,設計,建築されるのが通常であるが,一般住宅の建築において通常加味される程度の美的創作性が認められる場合に,その程度のいかんを問わず,「建築の著作物」性を肯定して著作権法による保護を与えることは,同法2条1項1号の規定に照らして,広きに失し,社会一般における住宅建築の実情にもそぐわないと考えられる。 一般住宅が同法10条1項5号の「建築の著作物」であるということができるのは,一般人をして,一般住宅において通常加味される程度の美的要素を超えて,建築家・設計者の思想又は感情といった文化的精神性を感得せしめるような芸術性ないし美術性を備えた場合,すなわち,いわゆる建築芸術といい得るような創作性を備えた場合であると解するのが相当である。 |
【解説】 |