【要旨】 医薬や医療機器と医療行為そのものとの間には,特許性の有無を検討する上で,見過ごすことのできない重大な相違がある |
【判示】 】医療行為そのものにも特許性が認められるという制度の下では,現に医療行為に当たる医師にとって,少なくとも観念的には,自らの行おうとしている医療行為が特許の対象とされている可能性が常に存在するということになる。しかも,一般に,ある行為が特許権行使の対象となるものであるか否かは,必ずしも直ちに一義的に明確になるとは限らず,結果的には特許権侵害ではないとされる行為に対しても,差止請求などの形で権利主張がなされることも決して少なくないことは,当裁判所に顕著である。
医師は,常に,これから自分が行おうとしていることが特許の対象になっているのではないか,それを行うことにより特許権侵害の責任を追及されることになるのではないか,どのような責任を追及されることになるのか,などといったことを恐れながら,医療行為に当たらなければならないことになりかねない。 医療行為そのものを特許の対象にする制度の下では,それを防ぐための対策が講じられた上でのことでない限り,医師は,このような状況で医療行為に当たらなければならないことになるのである。 |
【解説】 ★ |