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No.1285  著作権法
【問】
  外国の著作物については,条約により,その著作権の存続期間に戦時加算分の期間が加算される場合がある。

【解説】 【○】  
  日本は敗戦国であることから,戦争の影響で我が国で保護しなかった期間がある連合国の著作物については,開戦から平和条約締結時までの期間が保護期間として通常の保護期間に加算され,保護の義務を負う。

日本国との平和条約
第十五条
(c)   (i) 日本国は,公にされ及び公にされなかつた連合国及びその国民の著作物に関して千九百四十一年十二月六日に日本国に存在した文学的及び美術的著作権がその日以後引き続いて効力を有することを認め,且つ,その日に日本国が当事国であつた条約又は協定が戦争の発生の時又はその時以後日本国又は当該連合国の国内法によつて廃棄され又は停止されたかどうかを問わず,これらの条約及び協定の実施によりその日以後日本国において生じ,又は戦争がなかつたならば生ずるはずであつた権利を承認する。
(ii) 権利者による申請を必要とすることなく,且つ,いかなる手数料の支払又は他のいかなる手続もすることなく,千九百四十一年十二月七日から日本国と当該連合国との間にこの条約が効力を生ずるまでの期間は,これらの権利の通常期間から除算し,また,日本国において翻訳権を取得するために文学的著作物が日本語に翻訳されるべき期間からは,六箇月の期間を追加して除算しなければならない。

保護期間
アメリカ,イギリス,フランス,カナダ,オーストラリア(3,794日),ブラジル(3,816日),オランダ(3,844日),ノルウェー(3,846日),ベルギー(3,910日),南アフリカ(3,929日),ギリシャ(4,180日)等があり,多くは約10年間
 想定具体例で考えると,アメリカとの間の平和条約が発効したのが1952年4月28日であるから,1941年12月7日からこの日までの間に創作された著作物が対象となり,1952年4月28日に30歳のアメリカ人が創作した小説の日本での保護期間は,著作者の死亡を80歳とすると,2002年4月28日から50年で2052年12月31日であるが,これに「戦時加算」を考慮すると,2062年末であり,かつ翻訳の場合は6か月加算であるが,この加算は影響がない。
 今年は2018年であるから,まだ44年の保護期間が残るアメリカ人の著作物が存在することとなる。
 戦時加算の影響は,日本では,まだまだ続きそうです。因みにドイツには,同じ敗戦国ですがこの制度はありません。  
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