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No.518   特許法 
【問】  先使用に基づく通常実施権に関して,実施している発明及び事業の目的の範囲外では,この権利は認められない。

【解説】
【○】実施している場合に加え,事業の準備である即時実施の意図がある者も先使用権を有するが,事業の目的の範囲外まで認めると,権利者の権利が不当に狭められることとなる。
ウォーキングビーム炉事件(最二判611003)
【要旨】発明の実施である事業の準備とは,特許出願に係る発明と同じ内容の発明につき即時実施の意図があり,かつ,その意図が客観的に認識されうる態様,程度において表明されていることをいう。
 先使用による通常実施権は,特許出願の際に当該通常実施権者が現に実施又は準備をしていた実施形式だけでなく,これに具現された発明と同一性を失わない範囲内において変更された実施形式にも及ぶ。

(先使用による通常実施権)
第七十九条  特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし,又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して,特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は,その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において,その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。
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