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No.725  独占禁止法
【問】  ライセンスを受けた者のなした改良発明について,取得した特許権をライセンス許諾者へ帰属させることを義務付けることは,独占禁止法に違反しない。

【解説】 【×】
  独占禁止法は,相手との優位な地位を利用して不当な手段により,事業活動を制限することを排除することを目的としており,ライセンサーがライセンスの条件として将来の取得特許権を譲渡することを義務付けることは不当の拘束条件であり,特許権の正当な権利行使に該当しない。

第二十一条  この法律の規定は,著作権法 ,特許法 ,実用新案法 ,意匠法 又は商標法 による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。

知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針
(8) 改良技術の譲渡義務・独占的ライセンス義務
ア ライセンサーがライセンシーに対し,ライセンシーが開発した改良技術について,ライセンサー又はライセンサーの指定する事業者にその権利を帰属させる義務,又はライセンサーに独占的ライセンス(注19)をする義務を課す行為は,技術市場又は製品市場におけるライセンサーの地位を強化し,また,ライセンシーに改良技術を利用させないことによりライセンシーの研究開発意欲を損なうものであり,また,通常,このような制限を課す合理的理由があるとは認められないので,原則として不公正な取引方法に該当する(注20)(一般指定第12項)。

不公正な取引方法(昭和五十七年六月十八日公正取引委員会告示第十五号
(拘束条件付取引)
12 法第二条第九項第四号又は前項に該当する行為のほか,相手方とその取引の相手方との取引その他相手方の事業活動を不当に拘束する条件をつけて,当該相手方と取引すること。
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