問の【解説】 No.44   平成27年10月28日 前回 次回
 著作権法:刑事罰

【問】

 著作権等の侵害に関して,著作権の侵害行為は,無過失で行われても成立するので,侵害者が無過失であっても損害賠償を請求できる。

【解説】

  【×】 故意又は過失が必要とすると監視負担が大きく,経済活動が停滞する。
著作権は,方式も登録も不要なため無数の権利が発生しており,その全てを監視することは不可能なため,無過失の場合は,損害賠償は免れうる。
 したがって,著作権侵害を発見した場合は,警告を発することにより,故意の状態を作り出すか,やめさせるのが現実的である。
著作権法114条
 なお,特許法に規定するような過失の推定規定は設けられていない。

(損害の額の推定等)
第百十四条
 著作権者,出版権者又は著作隣接権者(以下この項において「著作権者等」という。)が故意又は過失により自己の著作権,出版権又は著作隣接権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為によつて作成された物を譲渡し,又はその侵害の行為を組成する公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては,送信可能化を含む。)を行つたときは,その譲渡した物の数量又はその公衆送信が公衆によつて受信されることにより作成された著作物若しくは実演等の複製物(以下この項において「受信複製物」という。)の数量(以下この項において「譲渡等数量」という。)に,著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物(受信複製物を含む。)の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を,著作権者等の当該物に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において,著作権者等が受けた損害の額とすることができる。ただし,譲渡等数量の全部又は一部に相当する数量を著作権者等が販売することができないとする事情があるときは,当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2  著作権者,出版権者又は著作隣接権者が故意又は過失によりその著作権,出版権又は著作隣接権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為により利益を受けているときは,その利益の額は,当該著作権者,出版権者又は著作隣接権者が受けた損害の額と推定する。
3  著作権者,出版権者又は著作隣接権者は,故意又は過失によりその著作権,出版権又は著作隣接権を侵害した者に対し,その著作権,出版権又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額として,その賠償を請求することができる。
4  前項の規定は,同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において,著作権,出版権又は著作隣接権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは,裁判所は,損害の賠償の額を定めるについて,これを参酌することができる。

特許法(過失の推定)
第百三条
 他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は,その侵害の行為について過失があつたものと推定する。

 
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