問の【解説】 No.87   平成27年12月10日 前回 次回
 商標法:商標権

【問】

  商標権者は,同一の設定行為で定めた範囲について,複数の通常使用権を許諾できる。

【解説】

  【○】 通常使用権とは,非独占的な契約による権利であり,専用使用権と異なり,複数の者に設定できる。
通常使用権者の権利は,その商標を使用することについて,商標権者から権利侵害を問われることのない権利である。
 なお,特許制度においては,通常実施権の登録制度は廃止されたが,商標制度では登録制度が維持されており,登録が第三者対抗要件である。
 ※ 特許,意匠は「実施権」,商標は「使用権」,著作権法,種苗法,チップ法は「利用権」

(通常使用権)
第三十一条

 商標権者は,その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。ただし,第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権については,この限りでない。
2  通常使用権者は,設定行為で定めた範囲内において,指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有する。
3  通常使用権は,商標権者(専用使用権についての通常使用権にあつては,商標権者及び専用使用権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り,移転することができる。
4  通常使用権は,その登録をしたときは,その商標権若しくは専用使用権又はその商標権についての専用使用権をその後に取得した者に対しても,その効力を生ずる。
5  通常使用権の移転,変更,消滅又は処分の制限は,登録しなければ,第三者に対抗することができない。
6  特許法第七十三条第一項 (共有),第九十四条第二項(質権の設定)及び第九十七条第三項(放棄)の規定は,通常使用権に準用する。
 

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