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No.1709 特許法
【問】 上級
  乙が,甲から特許権Aについて通常実施権の許諾を受けて,特許権Aに係る特許発明の実施である事業をしている場合,乙が,甲から承諾を得ずに当該通常実施権を第三者丙に移転できることがある。

【解説】 【○】
  相続その他の一般承継の場合には,特許権者の許諾を得ることなく移転可能である。
  その理由は,「事業とともにする場合も承諾を要するものとすると,その承諾を得ることができない場合において,しかも事業は移転せざるを得ないときは,事業を移転しても設備を稼働することができないため,設備の荒廃をきたすことになるので,このような事態を防ごうとするものである。一般承継の場合はその承継人の範囲が限定されていることでもあり,特許権者が不測の損害を蒙るということはほとんどなく,しかも,かりに承諾を要することとすると,被承継人は死亡等のためいなくなっているので,その結果,権利は消滅することになるからである。」(青本308頁)

(通常実施権の移転等)
第九十四条  通常実施権は,第八十三条第二項,第九十二条第三項若しくは第四項若しくは前条第二項,実用新案法第二十二条第三項 又は意匠法第三十三条第三項 の裁定による通常実施権を除き,実施の事業とともにする場合,特許権者(専用実施権についての通常実施権にあつては,特許権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り,移転することができる

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H30.7.26