問と解説: 前回 次回  【戻る】  【ホーム】 
No.1753 意匠法
【問】 上級
  甲は,特徴的な図柄αが付されたTシャツの意匠イについて,意匠に係る物品を「Tシャツ」とし,その物品全体を対象に,ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく日本国を指定締約国に含む国際出願をし,国際登録後に国際公表された。その後,当該国際出願に係る国際意匠登録出願Aは,日本国で意匠権の設定の登録がされた。乙は,甲の国際出願の国際登録の日後であって意匠イが掲載された意匠公報の発行の日前に,意匠イの一部である図柄αに類似する図柄βが付されたTシャツの意匠ロについて,意匠に係る物品を「Tシャツ」とし,図柄βを対象とする部分意匠として,意匠登録出願Bをした。意匠イの図柄α部分と意匠ロの図柄β部分の位置,大きさ,範囲は全て共通する。この場合,出願Bは,いかなる場合であっても,意匠イの存在を理由として,意匠法第3条の2の規定により拒絶される。

【解説】【×】
  意匠イと意匠ロは類似する。
 出願Bは,出願Aの国際登録後に出願されており,国際登録は国際公表されることにより,我が国の出願とみなされるから,出願Bは,出願前に外国において頒布された刊行物に記載された意匠から容易に意匠の創作をすることができたものであり,3条2項の規定により拒絶され,3条の2の適用はない。  

(意匠登録の要件)
第三条  工業上利用することができる意匠の創作をした者は,次に掲げる意匠を除き,その意匠について意匠登録を受けることができる。
一  意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた意匠
二  意匠登録出願前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた意匠
三  前二号に掲げる意匠に類似する意匠
2  意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときは,その意匠(前項各号に掲げるものを除く。)については,前項の規定にかかわらず,意匠登録を受けることができない。
第三条の二  意匠登録出願に係る意匠が,当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であつて当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの(以下この条において「先の意匠登録出願」という。)の願書の記載及び願書に添付した図面,写真,ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは,その意匠については,前条第一項の規定にかかわらず,意匠登録を受けることができない。ただし,当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であつて,第二十条第三項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があつたときは,この限りでない。
(国際出願による意匠登録出願)
第六十条の六  日本国をジュネーブ改正協定第一条(xix)に規定する指定締約国とする国際出願であつて,その国際出願に係るジュネーブ改正協定第一条(vi)に規定する国際登録(以下「国際登録」という。)についてジュネーブ改正協定第十条(3)(a)の規定による公表(以下「国際公表」という。)がされたものは,経済産業省令で定めるところにより,ジュネーブ改正協定第十条(2)に規定する国際登録の日(以下「国際登録の日」という。)にされた意匠登録出願とみなす

【戻る】   【ホーム】
H30.8.24