No.1765 意匠法 【問】 上級 甲は,特徴的な図柄αが付されたTシャツの意匠イについて,意匠に係る物品を「Tシャツ」とし,その物品全体を対象に,意匠登録出願Aをした。乙は,意匠登録出願Aの出願の日後であって意匠イが掲載された意匠公報の発行の日後に,意匠イの一部である図柄αに類似する図柄βが付されたTシャツの意匠ロについて,意匠に係る物品を「Tシャツ」とし,図柄βを対象とする部分意匠として,意匠登録出願Bをした。意匠イの図柄α部分と意匠ロの図柄β部分の位置,大きさ,範囲は全て共通する。この場合,出願Bは,いかなる場合であっても,意匠イの存在を理由として,意匠法第3条の2の規定により拒絶される。 【解説】【×】 乙の出願Bは,出願Aの意匠公報発行の日後に出願されているから,頒布された公報に記載された意匠から当業者が容易に推考できたものである。よって3条1項3号により拒絶され,公報発行前の出願を対象とする3条の2の適用はない。 (意匠登録の要件) 第三条 工業上利用することができる意匠の創作をした者は,次に掲げる意匠を除き,その意匠について意匠登録を受けることができる。 一 意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた意匠 二 意匠登録出願前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた意匠 三 前二号に掲げる意匠に類似する意匠 2 意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときは,その意匠(前項各号に掲げるものを除く。)については,前項の規定にかかわらず,意匠登録を受けることができない。 第三条の二 意匠登録出願に係る意匠が,当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であつて当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの(以下この条において「先の意匠登録出願」という。)の願書の記載及び願書に添付した図面,写真,ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは,その意匠については,前条第一項の規定にかかわらず,意匠登録を受けることができない。ただし,当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であつて,第二十条第三項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があつたときは,この限りでない。 |
H30.8.24