No.2327 特許法 【問】 上級 R1_2 特許権者は,過失により自己の特許権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その侵害した者がその侵害の行為により利益を受けていないときは,その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額(以下「実施料相当額」という。)を超える損害を受けていたとしても,実施料相当額を超える賠償を請求することはできない。 【解説】 【×】 特許権侵害において損害額を算定することは困難が伴うことから,特許法では,権利者の負担軽減のため推定規定を設けている。その一つが,侵害者の販売している数量に自己の1個当たりの利益の額を乗じて得られる額を損害として,権利者の損害額と推定する規定である。この規定は,侵害者が損害に相当する利益を得ていない場合でも適用がある。 参考 Q1673 民法 (不法行為による損害賠償) 第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 (損害の額の推定等) 第百二条 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは,その譲渡した物の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に,特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を,特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた額を超えない限度において,特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。ただし,譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは,当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。 2 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為により利益を受けているときは,その利益の額は,特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。 |
R1.6.13