No.838 特許法 【問】 特許無効審判の審決に対する取消訴訟は,東京高等裁判所の専属管轄である。 【解説】 【○】 裁判を起こす裁判所について,民事訴訟法では,原告は,原則として,被告の住所地を管轄する裁判所に裁判を起こすべきとされている。もっとも,例外があり,例えば,不法行為に基づく損害の賠償を求める裁判では,不法行為が行われた土地を管轄する裁判所に対しても裁判を起こすことができ,不動産に関する裁判では,問題となる不動産の所在地を管轄する裁判所にも裁判を起こすことができる。 無効審判の審決は,相手方が被告となるが,相手方は日本全国に分散すること,審決は行政処分であることから,裁判官を集中させることにより裁判所の専門性を確保することが可能な,特許庁の置かれている東京の東京高等裁判所を専属管轄としている。 (審決等に対する訴え) 第百七十八条 取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書,審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは,東京高等裁判所の専属管轄とする。 2 前項の訴えは,当事者,参加人又は当該特許異議の申立てについての審理,審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り,提起することができる。 3 第一項の訴えは,審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は,提起することができない。 参考:行政事件訴訟法 (管轄) 第十二条 取消訴訟は,被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。 民事訴訟法 (特許権等に関する訴え等の管轄) 第六条 特許権,実用新案権,回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利に関する訴え(以下「特許権等に関する訴え」という。)について,前二条の規定によれば次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有すべき場合には,その訴えは,それぞれ当該各号に定める裁判所の管轄に専属する。 一 東京高等裁判所,名古屋高等裁判所,仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 東京地方裁判所 二 大阪高等裁判所,広島高等裁判所,福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 大阪地方裁判所 2 特許権等に関する訴えについて,前二条の規定により前項各号に掲げる裁判所の管轄区域内に所在する簡易裁判所が管轄権を有する場合には,それぞれ当該各号に定める裁判所にも,その訴えを提起することができる。 3 第一項第二号に定める裁判所が第一審としてした特許権等に関する訴えについての終局判決に対する控訴は,東京高等裁判所の管轄に専属する。ただし,第二十条の二第一項の規定により移送された訴訟に係る訴えについての終局判決に対する控訴については,この限りでない。 |
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