問の【解説】 No.40   平成27年10月24日  前回 次回
著作権法:職務著作

【問】

 職務著作に関して,法人の発意に基づき法人の業務に従事する者が職務上作成するものであれば,法人以外のものが著作者となることはない。

【解説】

【×】 別段の定めがあれば従事する者が著作者となる。
 別段の定めとは,「著作権の全てを会社に譲渡する」のような定めがあると,著作財産権は会社に譲渡されるが,著作人格権は,譲渡不可能なので,著作者は従業員で,著作人格権である公表権,氏名表示権,同一性保持権は従業員が有することとなる。
 職務著作とは「使用者の発意に基づきその使用者等の業務に従事する者が職務上作成する著作物」であり,この要件を満たした職務著作の著作物が,使用者等の名義で公表され,その作成の時における契約,勤務規則その他に別段の定めがなければ, 使用者等が著作者となり,公表権,氏名表示権に加え,同一性保持権を有することになるから,会社が改訂版を出す場合も自由にできる。
 <簡単に表現すれば,職務上作成する著作物は,全て職務著作といえるのではないでしょうか。> 著作権法15条

(職務上作成する著作物の著作者)
第十五条  法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で,その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は,その作成の時における契約,勤務規則その他に別段の定めがない限り,その法人等とする。 2  法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は,その作成の時における契約,勤務規則その他に別段の定めがない限り,その法人等とする。

(映画の著作物の著作者)
第十六条  映画の著作物の著作者は,その映画の著作物において翻案され,又は複製された小説,脚本,音楽その他の著作物の著作者を除き,制作,監督,演出,撮影,美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし,前条の規定の適用がある場合は,この限りでない。
 
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