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No.1684 商標法
【問】 初級
  通常使用権は,登録しなくとも,その発生後にその商標権を取得した者に対しても,その効力を有する。

【解説】 【×】
   商標権に係る通常使用権は,登録が第三者対抗要件であるから,商標権者が変更になった場合,新しい商標権者から新たに通常使用権の設定を受けなければ実施できない。
 契約があっても,それは変更前の商標権者との契約であり,たとえ,その契約書の中に「商標権者が変更になってもなお効力を有する」などの表現があっても,新たな商標権に対して効力を有するものではない。この場合,使用できなくなることによる損害については,前商標権者との問題である。
 法格言「売買は賃貸借を破る」 賃貸人が賃借の目的物を譲渡した場合 ,賃借人は(対抗 要件を有しない限り)新所有者に対抗できない。したがって,新所有者が賃借権を承認しないときは,賃貸借契約は終了する。
 特許権の場合,特許権者が特許権を第三者に譲渡した場合,通常実施権者は新特許権者に対して 契約の事実により対抗要件を有し通常実施権を主張できる。(実用新案,意匠についての通常使用権の登録制度も廃止された)当然対抗制度の採用  
参考 Q114

(通常使用権) 第三十一条
 商標権者は,その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。ただし,第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権については,この限りでない。
2  通常使用権者は,設定行為で定めた範囲内において,指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有する。
3  通常使用権は,商標権者(専用使用権についての通常使用権にあつては,商標権者及び専用使用権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り,移転することができる。
4  通常使用権は,その登録をしたときは,その商標権若しくは専用使用権又はその商標権についての専用使用権をその後に取得した者に対しても,その効力を生ずる。
5  通常使用権の移転,変更,消滅又は処分の制限は,登録しなければ,第三者に対抗することができない。
6  特許法第七十三条第一項(共有),第九十四条第二項(質権の設定)及び第九十七条第三項(放棄)の規定は,通常使用権に準用する

特許法(通常実施権の対抗力) 第九十九条
 通常実施権は,その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても,その効力を有する。
特許庁解説 http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/touroku/h24_4_seidogaiyou.htm
 
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