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No.1699 商標法
【問】 上級
  商標権侵害行為を行った者については,過失の推定の規定(商標法第39 条で準用される特許法第103 条)があるため,故意又は過失の立証を要することなく,商標権侵害の罪(商標法第78 条,第78 条の2)が成立する。

【解説】 【×】
  過失の推定は規定されているから,過失を立証する必要はないが,故意については規定されておらず,故意であることを権利者が立証することが,侵害罪成立の要件である。
  因みに,故意の立証は,侵害者が実施している製品が特許発明であることを知っていることが要件だから,内容証明郵便で特許発明の内容を知らせることにより,故意の立証が容易に可能である。

(特許法 の準用) 第三十九条
 特許法第百三条 (過失の推定),第百四条の二(具体的態様の明示義務),第百四条の三第一項及び第二項(特許権者等の権利行使の制限),第百五条から第百五条の六まで(書類の提出等,損害計算のための鑑定,相当な損害額の認定,秘密保持命令,秘密保持命令の取消し及び訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)並びに第百六条(信用回復の措置)の規定は,商標権又は専用使用権の侵害に準用する。
特許法(過失の推定) 第百三条
 他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は,その侵害の行為について過失があつたものと推定する
(侵害の罪)
第七十八条  商標権又は専用使用権を侵害した者(第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は,十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
第七十八条の二  第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は,五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
(侵害とみなす行為)
第三十七条  次に掲げる行為は,当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす
(侵害とみなす行為)
第六十七条  次に掲げる行為は,当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす
一  指定商品又は指定役務についての登録防護標章の使用
二  指定商品であつて,その商品又はその商品の包装に登録防護標章を付したものを譲渡,引渡し又は輸出のために所持する行為
三  指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録防護標章を付したものを,これを用いて当該指定役務を提供するために所持し,又は輸入する行為
四  指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録防護標章を付したものを,これを用いて当該指定役務を提供させるために譲渡し,引き渡し,又は譲渡若しくは引渡しのために所持し,若しくは輸入する行為
五  指定商品又は指定役務について登録防護標章の使用をするために登録防護標章を表示する物を所持する行為
六  指定商品又は指定役務について登録防護標章の使用をさせるために登録防護標章を表示する物を譲渡し,引き渡し,又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為
七  指定商品又は指定役務について登録防護標章の使用をし,又は使用をさせるために登録防護標章を表示する物を製造し,又は輸入する行為

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