No.1847 特許法 【問】 上級 甲が,明細書,特許請求の範囲及び図面に自らした発明イ及びロが記載された特許出願Aをした日後,乙が,自らした発明イについて,出願Aの出願公開前に特許出願Bをした。その後,甲は,出願Aの出願公開前に出願Aについて補正をして特許請求の範囲から発明イを削除するとともに,出願Aを分割して発明イについて新たな特許出願Cをした。出願A及びCが出願公開された場合,出願Bは,出願A又はCの存在を理由に,いわゆる拡大された範囲の先願(特許法第29 条の2)の規定に基づいて拒絶されることはない。 【解説】 【×】 先願の出願書類に記載された発明が,その後補正により削除されて公開されれば,出願当初の明細書等に記載された内容は,拡大された先願として後願を排除する機能を有している。一方,分割出願は,分割出願時に元の出願に記載のない新規事項が追加されることもあることから,拡大先願としての,他の特許出願としては機能しない。 しかし,出願Aは分割出願ではなく,通常の出願であるから,出願当初の明細書等に記載された範囲で拡大先願の地位を有するから,他人の後願である出願Bは拒絶される。 (特許の要件) 第二十九条の二 特許出願に係る発明が当該特許出願の日前の他の特許出願又は実用新案登録出願であつて当該特許出願後に第六十六条第三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した特許公報(以下「特許掲載公報」という。)の発行若しくは出願公開又は実用新案法 (昭和三十四年法律第百二十三号)第十四条第三項 の規定により同項 各号に掲げる事項を掲載した実用新案公報(以下「実用新案掲載公報」という。)の発行がされたものの願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては,同条第一項の外国語書面)に記載された発明又は考案(その発明又は考案をした者が当該特許出願に係る発明の発明者と同一の者である場合におけるその発明又は考案を除く。)と同一であるときは,その発明については,前条第一項の規定にかかわらず,特許を受けることができない。ただし,当該特許出願の時にその出願人と当該他の特許出願又は実用新案登録出願の出願人とが同一の者であるときは,この限りでない。 (特許出願の分割) 第四十四条 特許出願人は,次に掲げる場合に限り,二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。 2 前項の場合は,新たな特許出願は,もとの特許出願の時にしたものとみなす。ただし,新たな特許出願が第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案法第三条の二 に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び第三十条第三項の規定の適用については,この限りでない。 |
H30.9.30/H30.10.15