【解説】  No.155   前回 次回
 特許法:権利 2級

【問】  特許権に係る特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による処分を受けるための申請に添付される資料を作成するためになされる特許権の存続期間の満了前に行われる試験には,特許権の効力は及ばないことがある。

【解説】 【○】 27_16 
  試験研究のためにする実施には,特許権の効力は及ばない。試験研究には純粋な学問上の試験にとどまらず,特許発明の確認や新しい改良発明のための実施も含まれ,権利満了後の実施のために必要な準備も,販売目的のためだけでない場合には,及ばない。(最高裁H110416)

(特許権の効力が及ばない範囲) 第六十九条  
 特許権の効力は,試験又は研究のためにする特許発明の実施には,及ばない。

(最高裁H110416)
 特許権存続期間中の特許発明の独占的実施による利益は確保されるのであって,もしこれを,同期間中は後発医薬品の製造承認申請に必要な試験のための生産等をも排除し得るものと解すると,特許権の存続期間を相当期間延長するのと同様の結果となるが,これは特許権者に付与すべき利益として特許法が想定するところを超えるものといわなければならない。
 
前回の「問と解説」
【戻る】   【ホーム】