【解説】
No.158 前回 次回 特許法:放棄 1級 【問】 特許出願人は,その特許出願について仮通常実施権者があるときは,その承諾を得なくとも,その特許出願を放棄することができる。 【解説】 【○】 27_19 仮通常実施権は,通常実施権と同様登録しなくても第三者に対抗できる。仮専用実施権は,登録が効力発生要件であり,登録された権利を有する仮専用実施権者の許諾を得ずに特許出願人が放棄や取下を行うと仮専用実施権者に不測を損害を生じさせることとなる。 一方仮通常実施権は出願人との間の契約による効果であり,通常実施権の登録制度を廃止したことに伴い,出願の放棄に関して,仮通常実施権者に仮専用実施権者と同様の手続的地位を与える必要まではないと考えられる。 法律上は,仮専用実施権について規定し,仮通常実施権については規定していないことからも,承諾を得なくても放棄することができる。 なお,契約による通常実施権者がいる場合の特許権の放棄は,承諾を必要としている。(97条) 通常実施権についての登録制度を廃止するまでは,特許出願の放棄については,仮通常実施権者の許諾も必要としていた。 (特許出願の放棄又は取下げ) 第三十八条の二 特許出願人は,その特許出願について仮専用実施権を有する者があるときは,その承諾を得た場合に限り,その特許出願を放棄し,又は取り下げることができる。 改正前の(特許出願の放棄又は取下げ)(平成21年4月1日施行版) 第三十八条の二 特許出願人は,その特許出願について仮専用実施権又は登録した仮通常実施権を有する者があるときは,これらの者の承諾を得た場合に限り,その特許出願を放棄し,又は取り下げることができる。 |