【解説】
No.172 前回 次回 意匠法:関連意匠と新規性喪失の例外 1級 【問】 意匠出願後にその実施物をカタログに掲載して公知とした後,これを本意匠とする関連意匠を出願した場合,新規性喪失の例外規定を適用申請すれば,新規性喪失を回避できる。 【解説】 【〇】 新規性喪失の例外規定は,自分が創作した意匠を公知にした場合,一定の条件でそのことによりその後の公知とした意匠の出願が拒絶されないこととしたものであり,類似する意匠について例外規定を認めず,全く同じ意匠に限定することは,類似の公知意匠が拒絶理由となることを考慮すると,出願人に酷で社会の実情にそぐわない。 条文を検討しても,新規性喪失の例外規定により,公知となったものとしないのであるから,公知でないものに類似するからといって拒絶することは,自己矛盾が生じることとなる。 類似意匠について新規性喪失の例外が認められることから,類似意匠を関連出願とする新規性喪失の例外規定についても,許容される。 『関連意匠の出願前に関連意匠と類似する本意匠の実施物を公知にした場合は,その関連意匠は新規性を喪失していることになる。したがって,意匠登録を受けることができないが,関連意匠の出願が実施物の公開から6月以内である場合は,新規性喪失例外規定を適用することでこれを回避することができる。』 参考とした特許庁のQ&A集:https://www.jpo.go.jp/toiawase/faq/yokuar27.htm (意匠の新規性の喪失の例外) 第四条 2 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠(発明,実用新案,意匠又は商標に関する公報に掲載されたことにより同条第一項第一号又は第二号に該当するに至つたものを除く。)も,その該当するに至つた日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項及び第二項の規定の適用については,前項と同様とする。 (意匠登録の要件) 第三条 工業上利用することができる意匠の創作をした者は,次に掲げる意匠を除き,その意匠について意匠登録を受けることができる。 一 意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた意匠 二 意匠登録出願前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた意匠 三 前二号に掲げる意匠に類似する意匠 (関連意匠) 第十条<一部略> 意匠登録出願人は,自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠に類似する意匠については,当該関連意匠の意匠登録出願の日がその本意匠の意匠登録出願の日以後であつて,第二十条第三項の規定によりその本意匠の意匠登録出願が掲載された意匠公報の発行の日前である場合に限り,第九条第一項又は第二項の規定にかかわらず,意匠登録を受けることができる。 (先願) 第九条 同一又は類似の意匠について異なつた日に二以上の意匠登録出願があつたときは,最先の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。 |