No.197    前回 次回
 特許法:訂正 1級
【問】 複数の請求項について請求項ごとに訂正審判を請求した場合,一部の請求項の訂正が不要になったときは,訂正した特許請求の範囲において,その一部の請求項の訂正を削除する補正を行うことはできるが,その一部の請求項についてのみ訂正審判の請求を取り下げることはできない。

【解説】 【○】27_44
訂正審判の取下げは、その全ての請求を取り下げる場合にのみ可能(特§155C)
→ 審決が確定するまで可能(特§155@)
・訂正審判の請求の一部を取りやめたいときは訂正明細書等の補正で行う(特§17の4A)
→ 審理終結通知の前まで可能(特§17の4A)
 理由(考え方):取下げは「取下書」を提出することによる「特定の手続」の続行をなかったものにすることであり,手続の内容に係る一部のみの取下げを許容することは,取下げ行為になじまないばかりでなく,取下は残った内容について検討する場合,取下書の内容と当初の手続を対比することが必要となり複雑化し,審理の遅延につながる。
 これに対し,補正により一部の内容を取りやめることは,取りやめた内容を含む新たな訂正書による審理を行えばよく,手続的な複雑さによる混乱解消が図れる。
 この場合,改めて全文訂正明細書等又は図面を提出しなければならない。
 参考審判便覧:43.05P U D T 審判請求(特許(商標登録)異議の申立て)の一部取下げ
    54-05.1の2(3)54―05.1 P 審判請求書の要旨の変更    

(審判の請求の取下げ) 第百五十五条
 審判の請求は,審決が確定するまでは,取り下げることができる。
2 審判の請求は,第百三十四条第一項の答弁書の提出があつた後は,相手方の承諾を得なければ,取り下げることができない。
3 二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について特許無効審判を請求したときは,その請求は,請求項ごとに取り下げることができる。
 請求項ごとに又は一群の請求項ごとに訂正審判を請求したときは,その請求の取下げは,その全ての請求について行わなければならない。

(訂正に係る明細書,特許請求の範囲又は図面の補正) 第十七条の五
 特許権者は,第百二十条の五第一項又は第六項の規定により指定された期間内に限り,同条第二項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書,特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。
2 特許無効審判の被請求人は,第百三十四条第一項若しくは第二項,第百三十四条の二第五項,第百三十四条の三,第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り,第百三十四条の二第一項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書,特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる
3 訂正審判の請求人は,第百五十六条第一項の規定による通知がある前(同条第三項の規定による審理の再開がされた場合にあつては,その後更に同条第一項の規定による通知がある前)に限り,訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書,特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。
 
前回の「問と解説」
【戻る】   【ホーム】 /R4.1.4