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No.2915 意匠法
【問】 上級 25_8
  甲の登録意匠イが,当該出願日前の出願に係る乙の登録意匠ロを利用するものである場合,特許庁長官は,意匠法第33条第3項(通常実施権の設定の裁定)の裁定により通常実施権を設定すべき旨の裁定をした後に,裁定により通常実施権の設定を受けた甲が適当にロの実施をしないときは,職権で裁定を取り消すことができる。

【解説】  【○】 
  通常実施権の設定の裁定は,実施が必要という理由で裁定により実施できるようになったものであり,実施がされていないならば利害関係人だけでなく職権によっても取り消すことができる。
  参考 Q2855

(通常実施権の設定の裁定)
第三十三条 意匠権者又は専用実施権者は,その登録意匠又はこれに類似する意匠が第二十六条に規定する場合に該当するときは,同条の他人に対しその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をするための通常実施権又は特許権若しくは実用新案権についての通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
2 前項の協議を求められた第二十六条の他人は,その協議を求めた意匠権者又は専用実施権者に対し,これらの者がその協議により通常実施権又は特許権若しくは実用新案権についての通常実施権の許諾を受けて実施をしようとする登録意匠又はこれに類似する意匠の範囲内において,通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
3 第一項の協議が成立せず,又は協議をすることができないときは,意匠権者又は専用実施権者は,特許庁長官の裁定を請求することができる
7 特許法第八十四条,第八十四条の二,第八十五条第一項及び第八十六条から第九十一条の二まで(裁定の手続等)の規定は,第三項又は第四項の裁定に準用する。
(他人の登録意匠等との関係)
第二十六条 意匠権者,専用実施権者又は通常実施権者は,その登録意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠,特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき,又はその意匠権のうち登録意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の特許権,実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは,業としてその登録意匠の実施をすることができない。

特許法
(裁定の取消し)
第九十条 特許庁長官は,第八十三条第二項の規定により通常実施権を設定すべき旨の裁定をした後に,裁定の理由の消滅その他の事由により当該裁定を維持することが適当でなくなつたとき,又は通常実施権の設定を受けた者が適当にその特許発明の実施をしないときは,利害関係人の請求により又は職権で,裁定を取り消すことができる。
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R2.4.8