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No.3291 特許法
【問】 上級 R2_P2
  乙は,甲による発明イの内容を知らずに甲と同じ発明イをし,発明イを実施する事業を計画した。甲が発明イに係る特許出願をしたとき,乙は,発明イの実施品である製品Xの製造販売事業を行うにあたり必要となる機械を購入する目的で,銀行に対し資金借入れの申込みを行っている状態であった。乙が製品Xの製造販売事業を開始した後,甲による発明イに係る出願は特許権として登録された。この場合,上記申込みは特許法第79条(先使用による通常実施権)における「事業の準備」に該当しない。

【解説】  【○】
  先使用権を有するのは,特許出願の際に発明の実施又は準備をしている者であることが必要で,投じた設備の無駄を排除することが要点であり,融資の申し込み段階では,損害が発生することも少なく先使用権は認められない。
  参考 Q3012

(先使用による通常実施権)
第七十九条  特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし,又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して,特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は,その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において,その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。
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R2.10.27