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No.4123 特許法
【問】  3_P13_3
  甲は,特許請求の範囲に発明イ,明細書又は図面に発明イ及びロが記載された特許出願Aをした。その後,甲は,出願Aを分割して,特許請求の範囲に発明ロ,明細書又は図面に発明ロが記載された新たな特許出願Bをし,出願Bは出願公開された。そして,甲は,出願Aを基礎とする国内優先権の主張を伴って,特許請求の範囲に発明イ,明細書又は図面に発明イ,ロ及びハが記載された特許出願Cをし,出願Cは出願公開された。一方,乙は,出願Aと出願Bとの間に,特許請求の範囲に発明ロが記載された特許出願Dをした。この場合,出願Dは,出願Bの存在を理由にしても,出願Cの存在を理由にしても,いずれも,特許法第29条の2(いわゆる拡大された範囲の先願)の規定に基づき拒絶される。なお,甲及び乙は,自らがした発明のみを出願したものとする。

【解説】  【×】
  説明図
  適法な分割出願であれば,元の出願の出願日まで出願日が遡及する。出願Bの発明ロは,出願Aに含まれているから適法であるが,29条の2の適用については,審査負担で詳細な検討を求められることから,出願日を遡及と同様の扱いとしていない。
 ただし,国内優先権の場合は,出願日の遡及扱いでないこともあり,29条の2では元の出願日を基準としている。
  参考 Q3504

 (特許出願の分割)
第四十四条 特許出願人は,次に掲げる場合に限り,二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
2 前項の場合は,新たな特許出願は,もとの特許出願の時にしたものとみなす。ただし,新たな特許出願が第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案法第三条の二に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び第三十条第三項の規定の適用については,この限りでない
(特許出願等に基づく優先権主張)
第四十一条 特許を受けようとする者は,次に掲げる場合を除き,その特許出願に係る発明について,その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面・・・に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。・・・
2 前項の規定による優先権の主張を伴う特許出願に係る発明のうち,当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲・・・又は図面・・・についての第二十九条,第二十九条の二本文・・・の規定の適用については,当該特許出願は,当該先の出願の時にされたものとみなす
(特許の要件)
第二十九条の二
 特許出願に係る発明が当該特許出願の日前の他の特許出願又は実用新案登録出願であつて当該特許出願後に第六十六条第三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した特許公報(以下「特許掲載公報」という。)の発行若しくは出願公開又は実用新案法 (昭和三十四年法律第百二十三号)第十四条第三項 の規定により同項 各号に掲げる事項を掲載した実用新案公報(以下「実用新案掲載公報」という。)の発行がされたものの願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては,同条第一項の外国語書面)に記載された発明又は考案(その発明又は考案をした者が当該特許出願に係る発明の発明者と同一の者である場合におけるその発明又は考案を除く。)と同一であるときは,その発明については,前条第一項の規定にかかわらず,特許を受けることができない。ただし,当該特許出願の時にその出願人と当該他の特許出願又は実用新案登録出願の出願人とが同一の者であるときは,この限りでない。
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R3.12.30