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No.3646 意匠法
【問】 上級 R2_D10
  乙は意匠ロについて意匠登録を受けていた。その後,甲は意匠ロに類似しない意匠イについて意匠登録出願をし,意匠登録を受けた。乙は,意匠イの出願後,かつ意匠ロに係る意匠権の存続中に,意匠ロに類似する意匠ハを実施していた。意匠ハは意匠イにも類似していた。乙は,意匠ロに係る意匠権の存続期間満了後も意匠ハを実施するためには,甲に対し協議を求めて通常実施権の許諾を得なければならない。その協議が成立せず,又は協議をすることができないときは,乙は特許庁長官の裁定を請求しなければならない。

【解説】  【○】
  意匠権は登録意匠の類似する範囲まで権利が及ぶが,他人の登録意匠の類似範囲に含まれる場合は,先願でない限り,無断で実施できない。登録意匠ハは他人の登録意匠イと類似するから,甲が実施するためには乙に協議を求め,協議不成立であれば,特許庁長官の裁定を請求することとなる。

  (通常実施権の設定の裁定)
第三十三条  意匠権者又は専用実施権者は,その登録意匠又はこれに類似する意匠が第二十六条に規定する場合に該当するときは,同条の他人に対しその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をするための通常実施権又は特許権若しくは実用新案権についての通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
2  前項の協議を求められた第二十六条の他人は,その協議を求めた意匠権者又は専用実施権者に対し,これらの者がその協議により通常実施権又は特許権若しくは実用新案権についての通常実施権の許諾を受けて実施をしようとする登録意匠又はこれに類似する意匠の範囲内において,通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
3  第一項の協議が成立せず,又は協議をすることができないときは,意匠権者又は専用実施権者は,特許庁長官の裁定を請求することができる
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R3.5.3