No.4296 特許法 【問】 22_6P_2 甲は,特許請求の範囲に自らした発明イのみを記載し,明細書には,発明イとともに自らした発明ロを記載して特許出願Aをした。その後,甲は特許出願Aを分割して,特許請求の範囲に発明ロを記載した新たな特許出願Bをするとともに,同日に特許出願Aの明細書から発明ロを削除する補正をした。乙は,特許出願Aの日の後であって,特許出願Bの日の前に,特許請求の範囲に自らした発明ロを記載し,明細書には発明ロを記載して特許出願Cをした。この場合において,特許出願A及び特許出願Bについて,いずれも特許出願Cの日の後に出願公開がされたときは,特許出願Cは,特許出願Aをいわゆる拡大された範囲の先願としても,また,特許出願Bをいわゆる拡大された範囲の先願としても,特許法第29条の2の規定により拒絶されることはない。 【解説】 【×】 適法な分割出願であれば,元の出願の出願日まで出願日が遡及する。出願Bの発明ロは,出願Aに含まれているから適法であるが,29条の2の適用については,審査負担で詳細な検討を求められることから,出願日を遡及と同様の扱いとしていない。一方,特許出願Aについては,発明ロがその後の補正により削除されているが,拡大された範囲の先願としては,公開されたものの願書に最初に添付した明細書等に記載された発明であるから,特許出願Cは,特許出願Aをいわゆる拡大された範囲の先願として拒絶される。 参考 Q4123 (特許の要件) 第二十九条の二 特許出願に係る発明が当該特許出願の日前の他の特許出願又は実用新案登録出願であつて当該特許出願後に第六十六条第三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した特許公報(以下「特許掲載公報」という。)の発行若しくは出願公開又は実用新案法 (昭和三十四年法律第百二十三号)第十四条第三項 の規定により同項 各号に掲げる事項を掲載した実用新案公報(以下「実用新案掲載公報」という。)の発行がされたものの願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては,同条第一項の外国語書面)に記載された発明又は考案(その発明又は考案をした者が当該特許出願に係る発明の発明者と同一の者である場合におけるその発明又は考案を除く。)と同一であるときは,その発明については,前条第一項の規定にかかわらず,特許を受けることができない。ただし,当該特許出願の時にその出願人と当該他の特許出願又は実用新案登録出願の出願人とが同一の者であるときは,この限りでない。 (特許出願の分割) 第四十四条 特許出願人は,次に掲げる場合に限り,二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。 2 前項の場合は,新たな特許出願は,もとの特許出願の時にしたものとみなす。ただし,新たな特許出願が第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案法第三条の二に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び第三十条第三項の規定の適用については,この限りでない。 |
R4.3.2