問と解説: 前回  次回  【ホーム】 
No.4686 条約
【問】  29J9_3
  知的所有権の貿易関連の側面に関する協定における特許及び意匠に関し,一定の条件の下で,加盟国は,公の秩序又は善良の風俗を守ることを目的として,商業的な実施を自国の領域内において防止する必要がある発明を特許の対象から除外することができることが規定されている。しかし,一定の条件の下で,加盟国は,公の秩序又は善良の風俗を守ることを目的として,商業的な実施を自国の領域内において防止する必要がある意匠を意匠の保護の対象から除外することができることは規定されていない。

【解説】  【○】
  我が国において特許制度は産業の発達に寄与する発明を保護するものであるが,その前提は,個人の人権と公共の福祉に反しないことであり,公衆の健康や衛生並びに環境を害する発明は特許を受けることができない。これと同様の規定は「TRIPs協定」においても定められている。意匠についてはトリップス協定には規定されていないが国内法で規定することは禁止されていないことから意匠法において特許と同様の規定を設けている。
  参考: Q2091

《トリップス協定》
第8条 原則
(1) 加盟国は,国内法令の制定又は改正に当たり,公衆の健康及び栄養を保護し並びに社会経済的及び技術的発展に極めて重要な分野における公共の利益を促進するために必要な措置を,これらの措置がこの協定に適合する限りにおいて,とることができる。
第27条 特許の対象
(2) 加盟国は,公の秩序又は善良の風俗を守ること(人,動物若しくは植物の生命若しくは健康を保護し又は環境に対する重大な損害を回避することを含む。)を目的として,商業的な実施を自国の領域内において防止する必要がある発明を特許の対象から除外することができる。ただし,その除外が,単に当該加盟国の国内法令によって当該実施が禁止されていることを理由として行われたものでないことを条件とする。

《意匠法》
(意匠登録を受けることができない意匠)
第五条 次に掲げる意匠については,第三条の規定にかかわらず,意匠登録を受けることができない。
一 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある意匠
【戻る】   【ホーム】   <リスト>
R4.10.5