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No.5932 意匠法
【問】  6D10_1
  甲は,令和5年1月1日に,パリ条約の同盟国であるX国へ,正規かつ最先の意匠登録出願Aをした。その後,出願Aに係る意匠は,そのままX国で意匠登録を受け,令和5年3月31 日にX国の意匠公報によって公開された。 甲は,令和5年6月1日に,日本国へ,意匠登録出願Bをした。出願Bは,出願Aを基礎とするパリ条約による優先権の主張及び新規性の喪失の例外の適用申請を伴ったものであり,甲は,令和5年6月30 日に,X国特許庁が発行した優先権証明書及びX国の意匠公報を添付した意匠の新規性の喪失の例外の適用を受けるための証明書を提出した。甲は,令和5年9月1日に,日本国へ,意匠登録出願Cをした。出願Cの願書には,意匠法第10 条の2第1項の規定による意匠登録出願である旨の記載及び出願Bを原出願とする旨の記載があった。
 出願Cに係る意匠は,X国特許庁が発行した優先権証明書中には含まれていたが,出願Bの願書及び願書に添付した図面では参考図のみに記載されていたものである。出願Cは,出願Bの出願の時にしたものとみなされ,出願Cに係る意匠については,優先権の主張の効果が認められ,新規性の喪失の例外も適用されるから,出願Cに係る意匠は,意匠登録を受けることができる。
【質問要約】::優先権主張の根拠とする外国出願の外国公報掲載は,新規性喪失の例外規定の適用を受けることができるか?

【解説】  【×】
  平成23年の改正において,それまでの意匠登録を受ける権利を有する者の内外国特許庁への出願行為に起因して特許公報等に掲載されたことにより新規性を喪失した場合には,新規性の喪失の例外の対象とならないものと解釈,運用してきたことについて明文化した。
  参考:Q3992

(意匠の新規性の喪失の例外)
第四条 (意匠の新規性の喪失の例外) 第四条  意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠は,その該当するに至つた日から一年以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項及び第二項の規定の適用については,同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。
 2  意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠(発明,実用新案,意匠又は商標に関する公報に掲載されたことにより同条第一項第一号又は第二号に該当するに至つたものを除く。)も,その該当するに至つた日から一年以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項及び第二項の規定の適用については,前項と同様とする。
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