No.5126 意匠法 【問】 4D3_5 甲は,カップ型容器にアイスクリーム材を充填して冷凍成形した「容器付冷菓」の発明及び意匠イを完成した。「容器付冷菓」の意匠イは,アイスクリーム材と容器とが一体的な状態で市場に流通する1つの意匠であり,2以上の意匠を包含しない。「アイスクリーム用容器」の意匠ロは,意匠イの一部を構成する容器部分と同一の意匠である。甲は意匠イに係る意匠登録出願Aを日本国にした。その1月後,甲のグループ企業の乙社は,意匠ロに類似する意匠ハについて,日本国とX国を指定締約国としたハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際出願Bをし,出願Bは国際公表された。その後,出願Aについて意匠登録され,意匠公報が発行された。日本国特許庁の審査に係属中の出願Bについて,乙が出願人を甲へ変更するために,出願Bに係る意匠ハの意匠登録を受ける権利を甲に承継する届出の書面を特許庁長官に提出すれば,出願Bは,出願Aに係る意匠公報を根拠に意匠法第3条の2に基づいて拒絶されない。 【解説】 【×】 意匠制度は新規な意匠を公開した者に独占権を付与するので,既に出願された意匠と同一又はその一部分については,類似するものも含め最初に公開することにはならないので,独占権である意匠権を取得できないが,先願の意匠公報の発行の日前までに,同一人がした出願については拒絶されない。乙から甲への権利の承継は出願Aの公報発行後であることから3条の2の適用があり,拒絶される。 参考:Q4010 (意匠登録の要件) 第三条の二 意匠登録出願に係る意匠が,当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であつて当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの(以下この条において「先の意匠登録出願」という。)の願書の記載及び願書に添付した図面,写真,ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは,その意匠については,前条第一項の規定にかかわらず,意匠登録を受けることができない。ただし,当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であつて,第二十条第三項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があつたときは,この限りでない。 |
R5.4.28